2016-11-14

第7話「マスターの過去」/歩のあゆむ道

なごや栄二丁目新聞社 なご弁新聞 歩のあゆむ道

歩のあゆむ道第7話「マスターの過去」

歩のあゆむ道の概要については「なご弁新聞掲載中の1話完結短編小説「歩のあゆむ道」バックナンバー大公開!」にてご確認下さい。

第7話「マスターの過去」

営業マンとして2年目となる大川歩(おおかわ・あゆむ)は、自社の製品を売るために常に営業活動を行っている。電話でアポを取ったり、飛び込み営業をしたりと様々だ。これも、『株式会社里島工業 名古屋営業所』という自身の勤務先に貢献するためである。

歩が昼過ぎに訪れた、おしゃれな木造づくりの喫茶店『モナムール』は、マスターの曽根勲(そね・いさお)が一人で経営。男爵のような口髭が特徴で、穏やかな顔でコーヒーを注いでいる。

「いらっしゃい」

「こんにちは。もうすっかり涼しくなりましたね」

「お彼岸も終わって、秋も大分深まったからね」

歩はいつも飲んでいる、カフェ・ラテを注文した。

「営業マンも大変でしょ。その気持ち、よく分かるよ。私も昔は、サラリーマンで営業やってたからね」

「脱サラしたんですか?」

「まあね。家庭を顧みなくて、亡くなった女房にも申し訳ないことをしたよ。最期を看取ることはできたが、入院中は全然見舞いにも行けなくて……。子どもがいなかったし、女房の弟家族は仕事で海外に行ってたからね。私だけが頼りだったのに」

穏やかな笑顔の裏に隠された人生を語るマスターの話に、歩は一生懸命耳を傾けていた。

「いくら暮らしのためとはいえ、家族を疎かにしてまで仕事をしようとは思わなくなった。だから脱サラして、最初は喫茶店をしてた友人の手伝いをはじめて、独立という形で店をオープンしたんだ。『モナムール』はフランス語で『私の愛しい人』って意味なんだ」

「亡くなった奥さんを思ってオープンしたんですね」

まだ家庭を持っておらず、実家暮らしの歩だが、自分も帰りが遅くなることがある。歩にはまだ恋人はいないが、将来結婚した時に奥さんに苦労はさせたくないと、マスターから仕事と家族についてを考えさせられた。

※なご弁新聞28号(10月15日 発行)掲載分

第8話はなご弁新聞の最新号でお楽しみ下さい!

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この小説は、1人の若手営業マンの日常を描いています。会社の上司や同僚、営業先やその途中で出会う人との人間模様を1話完結の短編小説で描きます。「なご弁新聞」学生記者 川内雅樹

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投稿者 Keita Fukushima

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