2016-11-10

第5話「営業マンの悩み」/歩のあゆむ道

なごや栄二丁目新聞社 なご弁新聞 歩のあゆむ道

歩のあゆむ道第5話「営業マンの悩み」

歩のあゆむ道の概要については「なご弁新聞掲載中の1話完結短編小説「歩のあゆむ道」バックナンバー大公開!」にてご確認下さい。

第5話「営業マンの悩み」

「クールビズ」という和製英語の造語が作られてから11年。サラリーマンにとってのこの時期特有のビジネススタイルは、すっかり浸透していた。伏見のテナントビルの中にある「株式会社里島工業 名古屋営業所」の面々も、ここ1ヶ月ほどでほとんどの社員がクールビズになったとは言っても、まだ営業活動ではネクタイにスーツというのが一般的だった。

押し込められるように名古屋市営地下鉄東山線に乗っていた大川歩(おおかわ・あゆむ)は、ビジネスバッグを持ちながら重たい足で、伏見駅の地下を歩いていた。入社して2年目、近頃は1人で営業回りに出ることが多くなった。営業マンになったからには覚悟していたこととはいえ、新しい取引先がなかなか見つからない。飛び込み営業も、まともに話を取り合ってくれないところがほとんど。歩は追い込まれていた。

伏見駅から地上に出る階段を上っていると、誰かが歩の肩をポンと叩いた。振り返ると、そこにいたのは、営業所のオフィスのあるテナントビルの清掃員・園井芳枝(そのい・よしえ)だった。

「おはよう、歩君。どうしたの?」

「おはようございます。実は営業成績が芳しくなくて、このままだと営業成績ゼロになるんじゃないかと思うと、会社に行く足も重くなって……」

「営業マン特有の悩みだね。私も、これまでそういう話いろいろ聞いてきたから」

歩が思わず首をかしげると、園井清掃員は鞄から名刺を取り出した。

「心理カウンセラー?」

「そうよ。普段は六十超えた、ただの掃除のおばちゃんだけどね、休日は地元のボランティアで心理カウンセラーやってるの。もし、どうしても精神的に辛くなったときは連絡してちょうだい。カウンセリングするから」

会社に行く途中の道で、園井清掃員という心のケアをしてくれる存在を発見した歩は、とても心強い思いだった。

※なご弁新聞24号(8月1,15日合併号 発行)掲載分

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この小説は、1人の若手営業マンの日常を描いています。会社の上司や同僚、営業先やその途中で出会う人との人間模様を1話完結の短編小説で描きます。「なご弁新聞」学生記者 川内雅樹

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投稿者 Keita Fukushima

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