2016-11-09

第4話「奇妙な1ヶ月」/歩のあゆむ道

なごや栄二丁目新聞社 なご弁新聞 歩のあゆむ道

歩のあゆむ道第4話「奇妙な1ヶ月」

歩のあゆむ道の概要については「なご弁新聞掲載中の1話完結短編小説「歩のあゆむ道」バックナンバー大公開!」にてご確認下さい。

第4話「奇妙な1ヶ月」

梅雨入り以降は雨天の日が多く、営業マンにとってジメジメした空気は好かない。そんな鬱憤を晴らすように、『里島工業 名古屋営業所』で働く営業マン2年目の大川歩(おおかわ・あゆむ)は、大きな黒縁眼鏡をかけた営業所長・扇崎(せんざき)や先輩・徳田(とくだ)と共に丸の内の居酒屋で飲んでいた。ここしばらく、扇崎と徳田は機嫌が悪い。

事件は1ヶ月前の5月上旬に発生。ようやく社員たちの予定が合い、4月に入社した村中幸平(むらなか・こうへい)の歓迎会の計画が組まれたのだが、歓迎会2日前、プライベートの予定が入ったと、ドタキャンをしたのだ。

「前もって予定組んで、ドタキャンするなんて信じれん」

「実質タダで飯が食えるんですよ。それを断るって、俺たちの時代じゃとてもとても……」

扇崎所長や徳田はこの一カ月、同じ会話の繰り返し。だが歩には、後輩の気持ちが何となく分かった。退社後のプライベートで、上司との食事は気を遣う。歓迎会をされて期待されるとプレッシャーにもなり、酒が入ると始まる、上司の長々とした説教。ならば、プライベートを最優先した方がよっぽど気が楽に決まっている。

「退社した後になってまで、会社の人たちと縛られたくないんじゃないですか?」

上司や先輩の顔色をうかがいながら、歩はさりげなく発した。

「だって、営業所長自ら飯をおごってくれるんだぞ。俺だったら、喜んで行くぞ」

「若手社員からすると、それがかえって気を遣わせますし、恩着せがましく思われるんでしょ」

「今の若いやつは自分を守るのが上手いよな。ちょっと怒鳴るとパワハラ、お茶くみをお願いしたらセクハラ。俺たち上司が部下の顔色を気にしなきゃやっていけない時代になったんだな」

しみじみと日本酒を飲む扇崎や徳田を見た、歩は一瞬だが幸平の自由さが羨ましいとも思った。

※なご弁新聞22号(6月15日発行)掲載分

第5話「営業マンの悩み」

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この小説は、1人の若手営業マンの日常を描いています。会社の上司や同僚、営業先やその途中で出会う人との人間模様を1話完結の短編小説で描きます。「なご弁新聞」学生記者 川内雅樹

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投稿者 Keita Fukushima

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