2016-11-08

第3話「新入社員、現る」/歩のあゆむ道

なごや栄二丁目新聞社 なご弁新聞 歩のあゆむ道

歩のあゆむ道第3話「新入社員、現る」

歩のあゆむ道の概要については「なご弁新聞掲載中の1話完結短編小説「歩のあゆむ道」バックナンバー大公開!」にてご確認下さい。

第3話「新入社員、現る」

すっかり気温も暖かくなり、春爛漫と言える季節が到来。半月前の4月1日、全国の企業の大半では入社式が行われた。東京の『里島工業』本社でも入社式は行われたが、大川歩(おおかわ・あゆむ)の職場である『里島工業 名古屋営業所』に配属になった新入社員は1人だった。そのため、入社式と言えるほどのものではなく、営業所長の簡単な挨拶と、新入社員の自己紹介で終わった。

新入社員の村中幸平(むらなか・こうへい)の席は、歩の向かいの席だった。
お互いに自己紹介をした後、歩は幸平に尋ねた。

「村中君は、何か目標とかあるの?」

「目標? 何だろう、ないですね。ここに入ったのも、親のツテなんで」

「コネ入社ってこと?」

「はい。就職したくても、なかなかやりたいことが見つからないんっすよ。でも、日本人には勤労の義務があるとかって、親父が難しい話をするので、仕方なく」

「仕方なく……?」

歩の顔が、ますます険しくなっていく。

「あ、電話だ」

幸平は携帯電話を片手に、外へ出ていってしまった。

「とんでもない新入社員が来ちまったな」

歩の隣席に座る、先輩社員の徳田(とくだ)が声をかけてきた。

「目標もなくてコネ入社じゃ、長続きしないな。新入社員が入社して3年以内で退職する割合は、全体の3割だって聞く。世代のズレもあるかもしれないが、新入社員の問題行動に、先輩上司が呆れるっていうのを、何かで見たことある。そうやって、徐々に人間関係が上手くいかなくなるんだろうな」

「それに、あの堅い所長の元で長く続くとは思えません。僕だって入った当初は所長が苦手で、ズル休みしたくなることもありましたから」

小声で徳田と苦笑しながら話していた歩だったが、ここは1年上の先輩らしい姿を見せて、幸平という後輩を育てていけたらと内心では思っていたのであった。

※なご弁新聞19号(4月15日発行)掲載分

第4話「奇妙な1ヶ月」

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この小説は、1人の若手営業マンの日常を描いています。会社の上司や同僚、営業先やその途中で出会う人との人間模様を1話完結の短編小説で描きます。「なご弁新聞」学生記者 川内雅樹

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投稿者 Keita Fukushima

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