2016-11-07

第2話「営業周りと企業理念」/歩のあゆむ道

なごや栄二丁目新聞社 なご弁新聞 歩のあゆむ道

歩のあゆむ道第2話「営業周りと企業理念」

歩のあゆむ道の概要については「なご弁新聞掲載中の1話完結短編小説「歩のあゆむ道」バックナンバー大公開!」にてご確認下さい。

第2話「営業周りと企業理念」

東京を拠点とする「里島工業」は様々な工業製品を開発しており、中でも食品機械の売上が全体の4割を占めていた。名古屋営業所で働く大川歩(おおかわ・あゆむ)は10歳上の先輩・徳田(とくだ)と営業回りをしていた。

今日の営業回りで8社目に歩と徳田が訪れたのは、名古屋に本社がある和菓子メーカー「滝村製菓」。名古屋駅に直結する錦通りにある高層ビルは、会社の規模の大きさが十分うかがえる。

歩と徳田が案内された6階の商談室は、いくつもの壁で仕切られており、同時にいくつもの商談ができるような仕組みになっている。先方を待つこの時間が、歩の脈拍を早くさせる。しばらくしてドアが開き、背広姿の中年男性が入って来た。体格がいい姿から、威圧を感じた。

「お待たせしました。営業部長の河野(こうの)と申します」
「徳田でございます」
「大川でございます」

3人は、それぞれ名刺交換をした。

「本日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。早速ですが……」
慣れた会話の流れで徳田が、製造機械の説明をしていく。一通り説明が終わると、河野から質問が飛んできた。

「弊社にとってどんなメリットがあると思いますか?」

「この機械を導入することで、和菓子の大量生産ができ、売上も伸びます」
徳田がすぐに答えた。

「なるほど。では、大川さん。弊社の企業理念をご存知ですか?」

「はい。一つ、職人の腕にこだわりを持つ。一つ、味の歴史を尊重する。一つ、お菓子への愛情を忘れない」

「そうです。企業理念に答えるには、大量生産や売上は二の次。職人の腕を機械で再現したら、弊社でなくても同じ

お菓子を開発できます。また、味の歴史を尊重し、愛情を忘れないことを考えたら、今回の件は見送らせていただくことが、妥当ではありませんか?」

歩たちが思わず納得してしまうほど、河野の判断は冷静だった。

企業理念を承知の上でアポを取っても心が折れない徳田の姿。企業理念を大切にして会社へのこだわりを強く持つ河野の姿。この日、歩は同時に2つのことを学んだ。そしてふと歩は、半月後に入社式が行われることに気が付き、いよいよ先輩社員という立場になることを痛感していた。

※なご弁新聞17号(3月15日発行)掲載分

第3話「新入社員、現る」

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この小説は、1人の若手営業マンの日常を描いています。会社の上司や同僚、営業先やその途中で出会う人との人間模様を1話完結の短編小説で描きます。「なご弁新聞」学生記者 川内雅樹

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投稿者 Keita Fukushima

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