2016-11-04

第1話「人生の先輩から」/歩のあゆむ道

なごや栄二丁目新聞社 なご弁新聞 歩のあゆむ道

歩のあゆむ道第1話「人生の先輩から」

歩のあゆむ道の概要については「なご弁新聞掲載中の1話完結短編小説「歩のあゆむ道」バックナンバー大公開!」にてご確認下さい。

第1話「人生の先輩から」

伏見駅から地上に出てから3分。ずっと歩いていけば名古屋駅が見えてくる錦通。鉄筋コンクリート造りという佇まいのビジネスビルが何軒も建っているビル街だ。その中にある10階建てのテナントビルの5階に、東京に本社を置く「里島工業」の名古屋営業所は居を構えていた。

所内は向かい合わせで社員8人分のデスク、一番奥に営業所長のデスク、そして応接用のソファーがあるぐらいの、こじんまりとした造りだ。

社員は比較的30代が多いが、営業所で一番の最年少は大川歩(おおかわ・あゆむ)。大学卒業から間もなく1年を迎えようとしている。いつかは東京の本社で製品を開発したいという目標を掲げて、地元・名古屋にある営業所で採用。漢字だけ見ると女性に間違われるが、れっきとした男性。自分の人生という道をしっかりと歩んでいってほしいと、父が名付けた。

「よし、今日も頑張るぞ! 将来のためだからな」

目標もあり、張り切っている歩だが、いざというときにあがり症になってしまう弱点があった。内心、これからやっていけるのか不安になっていた。だが、今ここで諦めていても何も始まらない。ビジネスバックを片手に、歩は外へ出ていった。

歩は表で、60代半ばとは思えないぐらい俊敏な動きでモップで掃除をしている清掃員の園井芳江にあった。

「あら、歩君じゃない。どう、そろそろ入社して1年経つけど」

「長かったような、短かったような感じです。うちの父、今でこそ営業課長になりましたけど、営業マン一筋でずっとやってきて、家族を養ってきたんですからね。改めて、偉大さを実感しますよ」

「亭主がお勤めして、月給を家に運ぶのが一昔前の家族の形式みたいになってたけど、今では女性も社会進出する時代になったでしょ。それに再雇用っていう形もあるしね。現に私だって、この通り。委託清掃員みたいな感じでだけど」

「いつまでも働きたいと思いますか?」

歩の素朴な疑問だった。

「それは、これから歩君が働いていけば、結果が見えてくるわよ」

そんな言葉を言い残し、園井清掃員はトイレ掃除へと向かった。
新年が明けて1ヶ月半、冷たい風を肌に感じながら、歩は営業回りのため、今日も営業活動という道をあゆんでいくのだ。

※なご弁新聞15号(2月15日発行)掲載分

第2話「営業周りと企業理念」

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この小説は、1人の若手営業マンの日常を描いています。会社の上司や同僚、営業先やその途中で出会う人との人間模様を1話完結の短編小説で描きます。「なご弁新聞」学生記者 川内雅樹

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投稿者 Keita Fukushima

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